ryu-hashimoto’s blog

グルテンアレルギースキーヤー、ドローンパイロットの話

UAV測量 ドローンによる空中写真測量の人材育成

2018年3月24日現在の情報をまとめたものです。

昨年4月ごろより業界の動きが活発になってきたUAV測量、ドローンによる空中写真測量とレーザー測量が来年度(2018年4月)よりさらに拡大しそうです。

建築機器分野で世界的なリーダー企業のコマツとドローン開発・製造メーカーのDJI、さらにドローンソリューションと市場をつなぎ、幅広くドローンサービスを提供するdo株式会社が一体となって、2018年8月に空中写真測量ドローンパイロットの人材育成プログラムを提供します。
【do企画・運営】DJI 、UAV写真測量ができる人材育成プログラムを提供 | do

 

空中写真測量
空中写真測量とは測量をする範囲を空から重なるようにして撮影した写真を基に、あらかじめ座標が明確になっているポイントから距離を導き出して面積や表面の高さ情報を得る測量方法です。
空中写真測量は国内のみならず、100年以上の歴史があり、日本では戦後の昭和27年に試験撮影が始まり昭和31年には民間の航空測量会社にも事業認可が下りています。近代の空中写真測量ではセスナなど小型航空機による撮影が行われ、高度は2000m以上にもおよぶこともあります。
ウィークポイントとしては、写真は上空から撮影するのでビルや橋梁などの構造物は上空から写った部分のみの高さや形状の情報は得られますが、五重塔や大型像などの側面情報が得られないので立体的な形状はデータとして形成できません。

 

UAV空中写真測量
ドローンで行う空中写真測量です。
無人航空機の許可を必要としない限界対地高度は150m未満です。一般的にはこの高度未満で空中写真測量が行われます。
UAV公共測量を行う場合、写真の重なる面積(以下ラップ率)が80%以上(側面60%以上)*1となるため航空写真測量のラップ率60%以上に比較して効率が悪そうに感じますが、実際はUAV測量のメリットのほうが大きいので重要な問題とはなりません。*1国土地理院の「UAVによる公共測量マニュアル(案)」より

UAV写真測量のメリット
・飛行が容易
UAV(無人航空機)は航空法で定められたエリアや飛行方法を守れば、航空局の飛行許可や承認を得る必要はありません。
・精度の高い測量が可能
地面より150m未満の高度で撮影を行うため、航空機による空中写真より高い精度の測量が可能です。
・コストが低い
航空写真測量にはパイロットや撮影士などの人的リソース以外にも高価な飛行機を所有し維持する必要があるため高コストです。そのため比較的規模の大きい測量以外ではコストに見合わないことがあります。
一方、UAV測量では機体自体のコストや維持費は航空機と比較して非常に低いので導入しやすいためコスト回収期間も短縮されます。
ドローンパイロットの養成は、基礎的な操縦技術であれば10時間以上で習得できますが、法律などの知識や安全に飛行する技術を習得するにはある程度以上の訓練が必要です。

今後のUAV測量需要は?
国土交通省では2016年から「 iConstruction(アイコンストラクション)」を表明しています。iConstructionとはICT技術を全面的な活用で建設現場における生産性を向上させ魅力ある建設現場を目指す取り組みのことです。
 iConstructionには3つの大きな柱とされているものがあり、その中でも重要視されているのが「土工における全面的なICT技術の活用」です。
具体的な例の一つとして「空中写真測量を用いた出来形管理の監督・検査要領」が定められています。
 簡単に言うと、ICTを活用して土木業界を魅力ある世界にして人材を確保しよう!さらに人口減少の波も来るので圧倒的な省力化を図ろう!
と言う感じでしょうか。
 こういった背景から、今まで行っていた地上測量がUAV空中写真測量にシフトしていくので公共工事での需要が拡大します。
 さらに、産業廃棄物処理場などの運営で常に課題となっている、残り受け入れ容積の計測にも転用できるので民間の測量需要も広がります。

測量士測量士補が簡単にUAV測量にシフトできるか?
 今まで地上測量を行ってきた測量会社の測量士測量士補の方は、空中写真測量というと試験の時以来知識を補完する機会は非常に少いうえ、実際の空中写真測量を経験した方は限られています。さらに、UAVの操縦経験者となるとまだまだ多いとは言えません。
 空中写真測量には、UAVの操縦技能だけにとどまらず、シャッタースピードや絞り、ぶれない撮影方法などの撮影に関する基本的な知識が必要です。更に日陰などの暗部やハレーション、白飛びなどの対策を撮影時刻やフィルターや撮影の設定で補わなければならないので、今まで培ってきた地上測量の知識では通用しない部分が多いのです。
 このように測量士の資格や経験が豊富と言っても簡単にはUAV測量に移行できない課題が多いです。

UAVパイロットは簡単にUAV測量操縦ができるのか?
 航空法や小型無人機飛行禁止法などを中心とするドローンに関連する法律や規制、また飛行許可や承認を得るための申請ができるドローンパイロットがUAV測量の操縦を行うには最低限の空中写真測量の知識が必要です。
 例えば飛行経路間のサイドラップ率をマニュアル通り60%に設定した場合どの範囲まで三次元点群データの作成可能範囲となるのかや、なぜ暗部や白飛びした写真では測量には不適であるといった知識がないと、空中写真測量を目的とする撮影ができません。

DJIとコマツが作るUAV測量教習課程に期待
 こういったことからUAV写真測量におけるドローンパイロットの需要が見込まれているが、体系的に学ぶ場がなく、将来のiConstruction業務が危ぶまれてしまうと困るので、今回発表となった人材育成プログラムが有効となると思います。

書籍の紹介
初めてのドローン測量ガイド」は地上測量からドローンによる空中写真測量へ移行する際の知識をガイドしています。是非ご購入を!